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IZU AKAZAWA

  【 海爺のボホール・ツアー情報 】

  パングラオ島のサプライズ
  

  
 
□ 日本語の聞こえないダイビングのメッカ・バリカサグ
 パングラオ島のリゾートから船で40分、バリカサグはビザヤ海を代表するダイビングのメッカである。他のリゾートや州都タグビララン、あるいはセブのマクタンから大きなバンカーボートでやって来ている。顔つきはぼくらと同じだが、喋る言葉は雑多に聞こえる。香港、台湾、韓国人ダイバーが多く、ここ数年で日本人は激減したと聞く。
 ボホールは5回目、5日間滞在して日本人ダイバーを見なかったのは初めてだった。
 そのわけを現地のガイドに聞かれたが、独断で景気とテロを理由にしておいた。
 パラオ、シパダン、モルジブ、GBR、世界のどこのリゾートでも日本人ダイバーで沸いたのは過去の話になっている。メッカのバリカサグでもアジア人ダイバーの顔をみたが日本語は聞こえなかった。うるさくなくて清々したが寂しくもある。
 
 さて、なにもかもあなたまかせの殿様ダイビングは、高齢者やハンディキャップダイバーに嬉しいサポートである。GBRやモルジブ、グランドケイマンやアメリカではこうしたサービスは見られない。かつて殿様ダイビングをフィリピンで流行らせたのは日本人ダイバーであり、実はぼくらがそのパイオニアである。70年代から90年までどこのリゾートへいっても日本語が罷り通っていたのである。
 彼らのホスピタリティは国民性だと思うが、中国や韓国のダイバーに受け継がれているのを見るとなんともくすぐったい。
  
 
ぐるくま1 ぐるくま2
  
グルクマ Rastrelliger kanagruta
   
 
 
□ グルクマの四角い口
 メッカ・バリカサグを海の生きものたちの故郷という人がいる。魚影密度がすごい。
 エントリーからエキジットするまでグルクマの群れが離れなかった。
 写真は深度8mぼとの表層を顎を外して食餌しながら移動するグルクマの一群である。以前に沖縄の砂辺で、短い時間だったがグルクマの群れに出会ったことがある。
 写真家の横井謙典さんがガイドしてくれた時で、普段はプランクトンを食べているが、他の魚たちの卵や精子を大口をあけて漉しとっているのだと横井さんは説明していた。
 しゃにむになって放卵、卵精する魚たち、そのそばから上前をはねるグルクマの大群。残酷な話だが上には上がある。人間の方が輪をかけて残忍で貪欲な生きものである。
 メンタイコ、イクラ、スジコ、、白子、カラスミ、キャビア、飛びっこ、ブリコ等、
魚卵だけでも沢山ある。アオリイカやマダコの卵、蟹の卵と卵だらけできりがない。
 
 さてバリカサグのサプライズたちは、いったい誰の卵や精子を食べていたのだろうか。ぼくらはおよそ1時間潜っていて、ずうっとグルクマの大口を見ていたから膨大な量になる。よくよく見ると顎を外すよりも、口から頬にかけて菱形から正方形に変わり、そのままの正方形の口を開放したまま肩を並べて、微細な餌のようなものを漉し取っているのである。何という奇態な魚達だろう、何という飽くなき食餌本能だろう。
 海のブルーに白い口先がキラキラ反射して美しい。ぼくはあまりの光景にオロオロしてシャッターも押せない。すざましいまでのグルクマの生きざまである。
 砂辺のグルクマは1989年、ぼくが怪我をする前の年である。胸がときめくような事はいつでもあるが、さすがバリカサグ、これほどの長丁場ははじめての経験である。
 
 図鑑では、グルクマは鰓耙(サイハ・鰓の一部)が著しく多く、羽毛状になっていると書いてあった。プランクトンや魚卵などを、羽毛状の鰓耙で漉しとりながら、酸素もしっかりとりこんでいる。フィリピンでは重要な産業魚になっているとガイドは言っていた。 
 
 
あかふちりゅうぐううみうし あかふちりゅうぐう
 
アカフチリュウグウウミウシのラブラブ / 流れに逆らうアカフチリュウグウ
 
 
 
□ ウミウシ3態
 バリカサグでは、ウミウシたちがあちこちでラブラブしていた。通年、ここの水温は28°前後だというから彼らの生殖期間にはオフがないのかもしれない。ひとつ見つけると必ず近くに相手を見つける。交接の前戯というのか寄り添うまでがほんとに面白い。
 このアカフチは、相手のボディにタックルし転がしてから接触している。なんとも人間の営みに似ていて苦笑させられる。
 
 この日は(12月14日)大潮で、激しいドリフトダイビングになったが、例によって殿様ダイブだからストレスはない。ひらたい楕円形の海草(ウミヒルモ)の葉につかっまたまま動かないアカフチリュウグウウミウシを撮る。掴むところがない砂地だから左手の指を熊手にしてシャッターする。アカフチは流れに逆らっていったい何をしようとしているのか、懸命な姿が面白い。ガイドが砂地にナイフを指しながら寄ってきて怪訝な顔をしていた。二枚の葉の間にまたがるようにして真面目に取りついていた。
 シラナミイロウミウシがまんじりともしないで卵を産みはじめていた。産むことに専念しているので微動だにしない。ピントがこないのは撮るほうが駄目なのである。
 ベスト10に入るほどの個性的で綺麗なウミウシである。
 
 座間味で炬燵を使うのをみたことがないが、小野篤司さんのガイドブックには冬のウミウシだと書いてある。バリカサグのウミウシガイド(DMのエドガア君)に言わせると、年中無休でウォッチできると言った。バリカサグでは4ダイブしたが1ダースほどマクロしている。ほとんどがラブラブのペアである。やはり地元のガイドのほうがぼくらより数倍も目敏い。
 
 
しらなみいろうみうし
  
シラナミイロウミウシの産卵
 
 
 
□ 睡眠中のギンガメアジか
 ぼくのデジカメ(DX3000)は広角ではないので、トルネードの全貌を撮るのは至難である。潮止まりのバリカサグは視界が急激に悪くなる。ギンガメがぐるぐる廻るのはこんな透明度が悪くなり暗くなる時が多い。ギンガメアジのような回遊魚は泳ぎをやめるわけにはいかない。永久運動をしながら生きているのである。ぐるぐる渦巻きのように廻る彼らのトルネードは実は泳ぎながら休んでいるのである。休んでいるだけでは身体がもたないから時には眠ることもある。眠っている間に天敵にやられてはかなわないから、こうして団塊になってぐるぐる同じところで群れながら休むのである。皆で休めば怖くないのかもしれない。さてこの写真、眠っているギンガメか、休憩中のギンガメが判定の難しいところ、実は学者にもわからないのである。
 そこでぼくの結論は『眠りながら休んでいるギンガメアジを撮影』ということになる。
 
 
ぐるくま3
 
  
海爺 2004-12-24
 
 
 
 
 
   
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